ヲワリとハジマリのものがたり

ふとしたことから、それはまわりはじめた。

まわりはじめると、音楽が生まれた。

音楽が生まれると、それを唄う者があらわれた。 彼らには美しい声があった。

美しい声が響くと、やがていのちが生まれた。 いのちは形を作り、ともに踊った。

踊るうちに輪が生まれた。

いくつもの輪が重なり、やがて地面ができた。 彼らは美しい声で唄い、踊り、まわりながら輪をつくった。 すると、輪の中心から一つの形をつくり、高く突き上げた。 高く高く、空ができた。

そして空に向かう、天への道ができた。

美しい声と、踊る輪の中心から、天に向かって道を登るものが現れた。 彼らには目がなかった。

だから行き着く先は見えなかった。 ただ高く高く、登るだけ。 そして、終わりが来た。 終わりが手をさしのべて、踊る輪の中心をぐいと引き上げた。

それと同時に、「何か」が「中」に入るのがわかった。 「何か」は問いかけた。なぜ、集まるのだ?

なぜ、一緒にいるのだ?なぜ、一緒に「いられる」のだ?

彼らには目がなかった。

だが、美しい声をもっていた。 声がこたえた。

それは「アイ」だと。

「アイ」とは、集まり、唄い、踊り、一緒に天に登ることだと。

終わりは驚いて、そして思った。

「アイ」を知りたいと。

それならいいと、彼らは終わりを受け入れた。 終わりはぶるぶると彼らの中でふるえた。

彼らと、「ひとつになった!」それが「アイ」だと、終わりは知った。

そして、激しく何かがほとばしった。

それは涙だった。

涙が瞳を開き、彼らは目をもった。 開かれた目は光をとらえ、そして、互いの姿を見た。

これはなんだ?みな「カタチ」が違うではないか。

開かれた目は、彼らにその「考え」を伝えた。 「考え」は彼らの「心」をとりまいた。

彼らは「カタチ」が「同じ」者を美しいと思った。 そして、「カタチ」が異なる者を「別のもの」と考えた。 そして、彼らは「別のもの」を殺し始めた。

終わりは思った。

なんということをしてしまったのだと。

「アイ」が一瞬にして、消えてしまうなんて。 なんとしてでも、「アイ」を取り戻さなくては、と。

それがまわりはじめた最初から。

いや、その前から、音楽があった。

そしてそれを唄う者がいた。

だからそれはまわりはじめた。

ふとしたことから。

これが世界の始まり。

終わりの始まり。 天の和(ナ)の輪(ワ)の星の始まり。 始まりの物語。 エフェメラルの物語。 私たちは、今、この始まりの物語を思い出す時にいます。

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